2013年2月19日火曜日

博士と狂人


辞書を読みたい!っと思わせる本だった。

その辞書とは、オックスフォード大英語辞典(OED)のことだ。編纂は、今から160年ほど前にスタートした。日本では江戸時代末期にあたり、欧米からの異国船が周囲をウロつきだした時期だ。当時、イギリスは他国と争うようにして、植民地を獲得、自国の文化・経済圏に組み込むことで繁栄を謳歌した。そして、支配を確実にするために、現地で英語を普及させていった。英語の教育上、辞書の重要性が認識されつつあったが、当時は満足な英語の辞書はなかったのだ。そのため、女王閣下の承認を受け、大英帝国の戦略を担うべく、辞書の編纂がはじまった。



そのため、必然的にOEDは、正統な英語を定義するという使命を帯びた。『英語とは?』という問いに答えられるよう、あらゆる語彙、その意味、その用例、さらにはその語源に至るまで集められた。当時の掲載単語数は40万語以上であり、用例は100万以上だった。それだけのことをコンピュータのない時代にやってのけたのだ。その偉業は90年もの長い時間、そして傑出した能力を必要とした。
その偉業に貢献した人物の一人が、主人公のウィリアム・マイナー氏だ。彼はドクターであり、狂人だった。氏はアメリカ人であったにも、関わらず英国で数十年にもわたって辞書の編纂にボランティアで携わり、能力を発揮したのだった。そのきっかけは悲劇的な事件だったのだが・・・
あまりに面白くて、一気読みしてしまった。ちなみに一番最後に収録されている英単語はzxytだ。ちなみに一番最初は、、、書くまでもないですよね? 

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